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フェアウェルパーティーは楽しかった。
ケリーとブレットは、息の合ったダンスを披露してくれた。
二人とも体操の習っているから身のこなしが機敏で、本当にみごとだった。
わたしと竜也の歌もうまくいった。
ブランクのあったギターは完璧とは言えなくて、それが悔しくはあった。
高校を卒業したら練習しよう。
また弾いて歌えるようになろう。
フェアウェルパーティーの翌日は、朝早くから空港に向かわなければならない。
パーティーが引けて家に帰った後、夜眠るのが惜しくて、わたしたち四人はケリーの部屋に集まって、ずっとボードゲームをして遊んだ。
別れ際、バスに乗る直前、ケリーがギュッとわたしに抱き付いてきた。
涙交じりにいくつもの優しい言葉をつぶやいてくれながら。
わたしはうまく応えることができなかった。
伝えたい思いはあった。
話したいという気持ちがあった。
でも英語が出てこなかった。
ケリーをぎゅっと抱きしめ返すことしかできず、黙って唇を噛んだ。
英語を話せるようになりたい。
英語のテストの点数をよくするんじゃなくて、話し言葉としての英語を身に付けたい。
ついに出発してしまったバスの中で、グスグスと鼻をすすり上げる中学生たちも、わたしがいだいた思いと同じことを言った。
英語をしゃべれるようになりたい、と。



