先生方が「三羽烏」と呼んだ、わたしとひとみと雅樹。
木場山のようないなかではめったに出ないような成績優秀な子どもが、同じ学年に三人もいる。
そういう意味だ。
成績優秀といっても、三人ともタイプが違う。
わたしは英語と社会が強い文系。
ひとみは三教科がバランスよく、全部できる。
雅樹は「数学と理科は高校レベル」と言われるほどの理系。
でも、わたしはたぶん、本当はそんなに優秀なんかじゃない。
楽しみながら競える相手がいなくなって最初の学力テストは、全然ダメだった。
「わたしぐらいの成績の人、ほかにもいたよ。新しい学校での学力テスト」
「えっ、そうなんだ? 都会はやっぱり違う? みんな塾に行ってる?」
「ほとんどみんな行ってるみたい。学校は同世代の人が集まるだけの場所で、勉強を教わる場所は塾。そんな感じの人、多い」
「じゃあ、そういう人って、授業を聞いてない?」
「うん、わたし、目が悪いからさ、前のほうの席にしてもらって助かったけど、後ろのほうは何かメチャクチャ。木場山では想像もできない光景だと思う」
「そうなんだ。大変そう」
「それに、教科書の出版社が違うんだよね。そしたら、社会と理科は習った範囲が微妙にズレてたし、数学も式の書き方の癖とかがちょっと違う。
英語が悲惨。習ってない単語がいっぱいあって、学力テストでは、見たことない点数だった」



