ひとみや尾崎を拒絶したい。
そう思ってしまう自分の性格の悪さが、心根の暗さが、本当にイヤだ。
自分が嫌いだ。
憎い。
性格のこと、体形のこと、肌のこと。
ふと気が付くと、悩んでばかりいる。
メガネを掛けた顔を上げられない。
授業中に当てられた。
答えは合っていた。
でも、声が小さいと言われた。
ちゃんと声を出したつもりだった。
唄を歌うのが得意だったはずのわたしの喉は今、弱り切っている。
数学が難しい。
予習に時間がかかる。
練習問題の間違いが多い。
ひとみは誉められている。
わたしは取り残されている。
劣等感が募る。
中学時代よりも小説を書く時間は減った。
配られたプリントの裏や、筆箱の中に忍ばせたメモ帳に、休み時間や授業中の隙を突いて書く。
家に帰ってそれをパソコンに打ち込んで、フロッピーディスクに保存する。
書式を整えてホームページにアップする。
智絵はホームページを見てくれているだろうか。
アクセスカウンターはポツポツと回っている。
誰が訪れてくれた痕跡なのか、わたしにはわからない。
それが智絵だったらいいと願うだけだ。
電話してみようか。
手紙をポストに入れてみようか。
チラリと頭をかすめるアイディア。
でも、実行には移せない。
思い切ったことをするには、わたしは疲れすぎている。



