木場山中学校と書かれた門柱に背中を預けてぼんやりしていたら、制服姿のひとみがグラウンドから飛び出してきた。
「蒼ちゃん! お待たせ!」
ああ同じだ、と思った。
ついこの間まで、毎日こんなふうだった。
バレー部のわたしのほうが部活上がりの時間が早くて、合唱部のひとみを校門のところで待っていた。
でも違うんだ、とも思った。
わたしは私服だし、グラウンドに入りづらくて門の外にいた。
待ち合わせの場所は、門からいちばん近い桜の木のそばだったのだけれど。
わたしは背が高くて、ひとみは小柄だ。
十五センチくらいの差がある。
ひとみは丸顔で、丸い目とぷっくりした唇をしていて、髪が長い。
そういう特徴も、わたしと正反対。
わたしは面長で、切れ長の目と薄い唇、髪はずっと短くしている。
ひとみは遠慮なくわたしに抱き着いた。
「会いたかった! 遊びに来てくれてありがとう!」
「大げさ。引っ越してから、まだ一ヶ月も経ってないんだよ」
「まだ一ヶ月って信じられない! 学年が上がってからいろいろ忙しかったし」
「だろうね」
「学力テスト、どうだった? こっちはね、今回は雅樹くんが一位だったよ。
雅樹くんは、三教科では国語だけがネックだけど、今回のテストは科学の説明文がメインだったから得意分野だったって」
「それで、ひとみが二位」
「うん。蒼ちゃんがいたらどうなってたかなって、雅樹くんと話したよ」
「わたしは五教科あるときのほうが強いし」



