鏡が憎い。

嫌いどころじゃなくて、憎い。

登下校のバスの窓に自分の姿が映るのさえ、猛烈にイヤになった。

こんな汚い肌を人目にさらして歩かなければならないことが苦痛で仕方がなかった。


サイドに分ける癖のあった前髪を下ろした。

授業中にしか掛けていなかったメガネを、朝から晩まで掛けるようになった。

どうにかして少しでもニキビを隠したかった。


ニキビの薬を探してドラッグストアに入った。

ギャルみたいな店員に声を掛けられた。


「何かお探しですか?」


アイメイクもネイルも完璧な店員の目に、ニキビだらけの顔で塗り薬のコーナーをウロウロするわたしは、どんなふうに映るんだろう?


猛烈な劣等感が起こった。

悲しくて悔しくて、八つ当たりの怒りのようなものさえ抱いて、わたしが何も買わずにドラッグストアから飛び出した。


ずっと後になった今、肌のトラブルに心底悩んだ当時の自分を振り返ってみると、いくつものアドバイスができるのにと思う。