美恋side

真剣な目で見てくれるお兄さん
颯太さんに素直に答える

「本当の親じゃないんです」
そう言うと少し目を大きく見開いた

少し、昔話をしましょう





私は両親が大好きだった
パパもママも優しくて、
二人とも仲良くて自慢の親だった、
でも、
パパは刑事で、
私が中学1年の冬
連続殺人犯が現れたと通報があり、犯人を追い詰めた際に
腹部を刺され、殉職してしまった
ママは半年近く放心状態になっていたが、私を育てるためにもと、なんとか祖父、祖母の支えもあり立ち直った
そんななか、ママの仕事先で知り合った人がママにプロポーズをした
パパを忘れたくない、
生涯愛すると誓った旦那を忘れたくない
そう、ママは言って最初は断っていたが、
5回ぐらいプロポーズをされ、
更に、私を育てるにも1人じゃ大変だと言って、ママは再婚を決意した
でも、やっぱりパパを忘れたくはなくて、パパとの思い出を捨てないでいた
そしたら再婚相手の男は、
DVをするようになっていった

「いつまで前の男を忘れたくねぇんだよ!」
「なんで!?忘れないでいい、って言ったのはあなたよ!?」
その時中2の私は、ママが殴られているのを見て1度泣いてしまった
それからママは暴力を振るわれると察した時は私をクローゼットに押し入れ、男にもバレないようにしていた
力もなく、ママを助ける事も出来なかった
ママが仕事に出かけて、男が休みの時、
家にこの男と2人でいるのは怖くて部屋の鍵をしめて部屋にこもっていた
そんなある日
ドンドンドンドンドン
部屋のドアを強く叩かれ
怖くてベッドの中で怯えていた
ベッドの中じゃ簡単にバレる、
とりあえずベッドの下の小さな隙間に隠れた瞬間男が部屋に入ってきた
「どこいった、」
ベッドの掛け布団を取られる音、クローゼットが開かれる音
恐怖と緊張で心臓が破けそうに痛い
男が部屋から遠ざかる音を聞いて
ベランダから屋根に登り、少しの間でも逃げれれば、そう思い裸足で逃げた

夜になり、外も真っ暗、
友達に頼って友達に迷惑がかかるのは耐えられない
家に静かに帰ると
リビングで、ママが放心状態になってる姿を見てしまった
「ねぇママ!?」
「おや?帰ってきたか、」
男がニヤッと笑って近づいてきた
私は自分の部屋に駆け込んでドアの鍵を締めた

それから1週間すぎた頃
学校から帰ってきた私が見たのは
ママが首吊った自殺した姿だった、
私は声も出ずに泣いた
おばあちゃんに電話して迎えに来てもらった
ママのお葬式には、ママのお友達、パパの、刑事仲間も来てくれて、
滞りなくお葬式が終わって行った
おばあちゃん家に泊まっていたら
葬式からしばらくすると、男が訪ねてきた
「真由香は俺が引き取る」
私は抵抗しようとしたが、
「ばあさん達巻き込んでもいいのか?」
脅された

毎日酒に溺れ、気に食わないことがあるとすぐに殴ってくる
まだ性的虐待を受けてないだけマシだった、
高校にはおばあちゃん達が入学させてくれた

それから今も男は暴力を振る始末、

ジャズバーでバイトしてるのも、
他人の前じゃ父親面する最低なクズ男から逃げるための資金集め








─────────────────




「そんな家に、帰りたくないじゃないですか、、、
昔話はここまでです」
颯太さんは静かに話を聞いてくれていた
今度は颯太さんが泣きそうな顔してる
「なんだよそれ、ふざけんな、、」

ぽたっ
1粒、雫が、
いや、颯太さんの目から零れた涙だった
「おい美恋、ずっと、1人でその事黙ってたのか」
「、はい、そうなります」
「ばかやろ、」
向かいの椅子じゃなく、あたしの隣の椅子に座って、私の震える手を握っていてくれた
「もう1人で抱え込むんじゃねぇぞ、」
ぎゅっと抱きしめてくれた颯太さんの優しい温もりが伝わってくる
「、!はい」