俺は、ある1人の女の子に会うためにこの高校に入学した────。





「生徒代表からの祝辞。生徒会会長、三谷野志愛(みやの しう)」


入学式の中盤になり、司会の先生がマイクに向かって言う。



後ろから、体育館の床を歩く音がする。生徒会長さんだろう。
女の人が会長をやっているんだから、きっと真面目な人なんだろうな。



でも、俺には関係ない。あの子以外の女の子に興味はないから。



ステージの下にある、4段の階段を上っていると、会長さんはラスト1段のところでコテっとこけた。



いや、ここでこけるか、普通?



そんな会長を見てか、周りから


「会長かわいー」


という声が聞こえてくる。


先輩たちだろう。からかってもいいのかな?



会長さんはスカートを整え、演台の前へと来た。




「き、今日は、我が蓮城(れんじょう)高校に入学した新入生220名の入学式です。新入生のみなさん、高校は、中学校の生活とは違い、新しい仲間たちとの出会いがたくさんあります。なかなか慣れない生活だとは思いますが、────」



残念ながら、もう俺の脳内に会長さんの言葉は聞こえてこない。
もう、俺の頭の中はあのことでいっぱいだった。





まさか、まさか、キミとここで再会できるなんて────。