「まだちょっと早いし、ご飯食べて帰ろうか。」

洋ちゃんの誘いに「うん。」と言いかけたけど……

今日はいっぱい出費させちゃったなぁ~って反省して

「今日のお礼に何か作るよ。」って言ってみた。

「彩ちゃんのご飯かぁ~
明日からを考えると、ムリさせたくないんだけど………
ちょっと魅力だよなぁ。」

大人な年齢に似合わず、お子さまメニューが好きだから

私が作ると喜ぶの。

お店だと、あんまり可愛いメニューって………ねぇ~。

「大丈夫だよ。
帰りにスーパーに寄ってくれる?」

「だったら、ちょっと大きいスーパーに行く?
あそこって…アイス屋もあるし。」

甘い物に目がない洋ちゃんは、お店選びの基本はデザート。

自分が食べたいデザートで決まるの。

毎日あれほどパンを作って、クリームやチョコを味見してるのに。

「いいよ。抹茶アイス買おう!」

ウインカーを出して左に回って、幼稚園近くのスーパーに寄った。

「何にする?」

お肉………お魚……………。

どっちが良いのかな?

スーパーに着くと直ぐ迷子になる洋ちゃん。

行き先は、お菓子コーナー。

さっき大人だなぁ~って思ったのに。

一人メニューを考えていたら……

「彩ちゃん……………こっちおいで。」と小声で話しかけてきた。

…………………??……………。

シィ~。

ソッと近づいて、回れ右をさせる。

視線の先には…………………先生と唯ちゃん。

クスッと笑うと………

「ごめん。失敗した。」って……シュンとしてる。

二人一緒のところを隠そうとしたんだぁ。

「もう大丈夫だよ。
気にしてたら、明日から仕事出来ないでしょう?
それに、今度こそ強がりじゃなく大丈夫って思える。」

ニッコリ笑うと……照れくさそうにソッポを向いた。