沢山のお花に囲まれて、幸せな時間を過ごした。

夏休みのラストを……

こんなに笑顔で過ごせるんだ。

運転する洋ちゃんの横顔が………思いの外大人でドキッとしちゃった。

そうだよね。

普段、お兄ちゃんだと思ってるから忘れがちだけど………

洋ちゃんは洋ちゃんで、お兄ちゃんだけど………

本当は、私なんて相手にもしてもらえないくらい大人なんだよね。

そう思うと、朝……自分の助手席だと思ってたことが

思い上がりに思えて………恥ずかしくなった。

「洋ちゃんって、彼女はいないの?」

唐突な質問に「はぁ??」って。

そりゃ、そういうよね。

第一、たとえいたって……私に言わないかぁ~

自分が先生のことで、いっぱい相談してなぐさめてもらったから

ついつい対等な気持ちになっちゃう。

「どうしてその質問?」

以外にもコイバナにのってくれるみたい。

「うん……………。
さっきこの助手席を当たり前のように座ってたって言ったでしょう?
私………図々しいこと思ってたなって。
洋ちゃんは自分のものだって………どこかで思ってたみたい。
もしも彼女がいたら…………申し訳ないなぁ~って。」

「彼女は…………いないよ。
この助手席は、彩ちゃんのだよ。」

えっ?

意味深な顔でチラリとこっちを見て、また運転に集中する。

いつもだと『もう~洋ちゃんはぁ~』って笑うところなんだけど………

なんだか笑えなかった。