その後、受け取った用紙を抱えて自分のクラスの教室に戻ってきた私。


さすがにもう誰もいない教室は、やっぱり皆がいた時間帯よりもずっと広く感じて。


中学の頃よりも大きくて立派な黒板。

日付は、今日の日にちと曜日のまま。

日直欄には何も書かれていない。


私は手に持っていた用紙の束を石田先生に言われた通り、教卓の引き出しにしまってから、背中の黒板に向き直した。


白のチョークを取って、日にちの数字を消してから、明日に書き換える。

ついでに曜日も、月曜日から火曜日に。


日直はまだ決まってないから何も書けないや。


チョークを置き、指先についた粉を、ゴミ箱の上でパタパタとはたいた。



「お前、相変わらず他人のパシリみたいな真似してるんだな」


……え?

聞き覚えのある声だった。


いいや。

聞き覚え、なんてものじゃない。


この声、もしかして。


振り返った先には、教室のドアにもたれかかって退屈そうな目をして携帯を操作するアイツがいた。