「悪斗くん連れて帰って」

眠たすぎて、徒歩のあたしは
歩いて帰れないと思った。

悪斗くんに
手を引っ張ってもらえれば帰れる。


そう思った。


でも、いつも
なんでも了解してくれる
悪斗くんは今はいなくて。



「ごめんね。無理なんだ」


「なんか用事あるの?」


「病院に検査結果、聞きにいく。ひとりで」



ついてきてほしいのか、
ひとりを強調してきた。

ちょっと眠たいけど、まあいいや。


眠気を覚ますために、背伸びをした。



悪斗くんについていく。

健康体なあたしは、
最近病院に来てない。

病院特有のにおいはあたしを緊張させた。



すぐに悪斗くんは呼ばれて、
あたしも一緒に部屋に入った。

お医者さんが笑いながら
彼女なの?って悪斗くんに聞いた。

違いますっていう悪斗くん。


ちょっと悲しいな。




「結果だけど、大丈夫だったよ。来年の2月にまた詳しい検査があるから」

「それが大丈夫だったら、再発の可能性は少ないんですよね」

「そうだね。頑張ろうね。点滴したら終わり」


よくわからない話。
ていうか、なんの病気だったかも
あたしは知らない。

ひとりで帰るのも嫌だし、
点滴っていってもすぐ終わりそうだったから
あたしは待つことにした。



真っ白な部屋にベッドと椅子がある。

そこに悪斗くんがいた。


「親に連絡しなくてもいいの?」

悪斗くんがちょっと頭を起こして言った。


「メールした」



あたしはそういうと、
メールの内容を悪斗くんにみせた。

「すごい心配してるじゃん」



困った顔をしながら笑った。



点滴はあとちょっとで終わる頃だった。