かくかくしかじかで……懸命に説明する弦刃。


(ってか……恋愛初心者とも言える吊戯に相談したところで、何がわかるんだろう……)


とか、思ったけど、まぁ、兄弟愛だと思い、俺は無言に徹した。


「それは、お前が悪いな」


話を聞いた後、そう言いきった吊戯。


「…どうして?」


心底、わからないという顔。


弦刃には、分からないのだ。


どれが、正しいのか。


教えてもらえなかったから。


でも、それを理由にするな、と、吊戯は言った。


「考えてみろ。お前を支え続けてくれた歩は、お前の何を見ていたんだ?お前の背後の家を見て、お前を好きだと言い続けてくれてたのか?」


「……」


「お金じゃないだろう。弦刃、失いたくないのなら、見間違うな。歩にとって、一番はお前なんだよ。お前を愛しているから、お祖母様からの叱責にも耐えたんだ」


好きな男と結ばれてもいないのに、子供のことで重いプレッシャーをかけられる気持ち、お前にはわかるまい。


一時期、歩は食事も喉を通らなくなった。


ストレスで、夜、魘されるようになった。


全てが改善されたのは、弦刃が歩を受け入れてからだ。