「死んじゃえばいいのにな」

友達がポツリとそう呟いた。

学校からの帰り道。
夕焼けの空。私達の町。近所の人達。

いつもと同じ風景だけど、友達の様子がちょっと違う。

「どしたのー?急にー?
死んじゃえばいいなって?」

あたしがおどけた表情で訊くと、

「…………別に。」

との一点張り。

む〜、これは彼女お得意のだんまり大作戦かなぁ〜。なら違う質問で。

「ねぇ〜、それって誰に向かって言ったの〜?」

言ってからこれもだんまりを決め込まれるかなぁって思ったけど、案外サラッと言ってくれた。

「私に向けて………自分に向けてだよ
私なんか、死んじゃえばいいのにって思ったんだよね。」

友達はぼんやりと前の方を見ていたけれど、ふと私の方を見て、ゆっくりと丁寧に、言葉を繋いだ。

「あんたに分かるかなぁ…この気持ち
伝わるかなぁ…………あんたに………
この、どうしようもない感情が」

友達は、寂しそうな、嬉しいような、どこか大人びた笑顔であたしに言った

「う〜ん…………わっかんない!!」

あたしは、いつもの満面の笑顔を作って言った。

「うん、そっか」

友達は下を向いた。

「あんたは、分からなくていいよ」

友達が何かを呟いたのが聞こえた。



また嘘吐いちゃったなぁ〜。