「舞ちゃん、退院したら、俺の家に来ない?一緒に住もうよ。」



「え?」
いきなり何を言い出すのか、私はびっくりした。



「舞ちゃんの手は必ず治る。奇跡起こす男なんだよねー俺は。また、舞ちゃんのケーキ食べるからね。」



「簡単に言わないでよ。」




「簡単じゃないかもしれない。でも、俺はそんな単純じゃないから。しぶといよ。絶対に舞ちゃんを幸せにするからね。」



「…クマちゃん、いつもありがとね。
嬉しいよ。でも、なんで私なの?
歳だって12も違うし、もう家事できないし、あなたなら、若くて可愛い女の子、他に見つかるでしょ?」



「いや、俺は舞ちゃんが良いんだ。君しかいない。君しか見えない。」



「ずっと待ってたんだ。」
小さな声が聞こえた。



「え?今聞こえなかった。何?」




「いや、なんでもないよ。一緒に暮らすつもりでいてよね。」
クマちゃんは、いつもの愛らしい優しい顔で私に言った。