俺は舞香さんの部屋へ近づいて行った。
ゆっくりとゆっくりと。

まだ寝てるかもしれない……そう思い、静かに病室に入った。

案の定、舞香さんは深い眠りに着いているようだった。
俺は彼女の左手をギュッと握りしめた。色が白くてつるつるで、なんとも小さな可愛い手のひら。
俺はその手を自分の頬にあてた。


すると、舞香さんは、首をこちらに傾け、ゆっくりと目を開けた。


「あ…」


「頑張ったね。気分はどう?」


舞香さんは、何も言わなかったが、ずっと俺を見てくれていた。

そして、

「…ありがとう。来てくれて…」
そう言うと、ずっと我慢していたのか、溢れだす涙を流した。



俺は迷うことなく、彼女を強く強く抱きしめた。

「舞香さんのそばから一生離れないから。今日から、君は俺の彼女だから。これはもう決まった事だから。」