Deal×Love After

大きな声で怒鳴られて、私は驚いて身体を竦めてしまった。

そしてやっと気付いた。

幻聴でも幻覚でもない。

本物の海さんだということに。


「御兄さんですか?」

お巡りさんが訊ねた一言が、胸に真っ直ぐにグサリ。

やっぱり夫には見えるわけないわよねーーーー


「違います、夫です」

海さんが即答したその言葉に、落ち込んでいた私の心臓は嬉しくて速くなる。

よく見たら、額に汗をうっすら掻いている。

私を心配して探しに来てくれたの?


「妻がお騒がせして申し訳ありませんでした」

海さんはお巡りさんに頭を下げた。

私の変わりに謝らせていることに対して申し訳ない気持ちよりも、『妻』のワードに嬉しくなってじーんときてしまった。


「椿、行くよ」

海さんは感動している私の手を掴むと歩き出した。

私の顔を見ることなく。