【萌乃】
「向日葵〜!」
つい先日、アオくんとのデート?のことを一刻も早く向日葵に伝えたくて、大声で名前を叫ぶ私。
「ちょっ、うるさいから!」
「聞いて聞いて聞いてよ!」
キス...だなんて、思い出すだけで、めちゃくちゃ照れる。
「どうしたの〜!」
「アオくんにね!告白されたの!でね!キス...もされたの!!!」
改めて口に出すのはちょー恥ずかしい...。
「えっ!うっそー、あいつがキスっ?」
「う、うん...。」
「で?付き合うの?」
「アオくんが困ってる時に、1番に支えてあげたいの。隣で...。」
辛いの知ってる。苦しいの知ってる。それでも私に告白をしてくれた。その勇気ってとっても凄いと思うの。
「そっか。葵威の彼女が萌乃で良かったよ。」
「えへ、ありがと。」

放課後。
『アオくん、今日お見舞い行くね!』
というメールを打って、アオくんのいる病院へ向かう。莉乃のお見舞いもあるから丁度いいんだよね。
今日は、先に莉乃のお見舞いに行く。
「莉乃〜元気?」
「...。」
「莉乃ー?」
なんの返事もない。ちょっと覗いてみると何かを書いているみたい?
「お、お姉ちゃん!どうしたの?」
「どうしたの?ってお見舞いよ?ていうか何書いてたの?」
「お手紙だよ、みんなに書いてるの」
「先生とかに書いてるの?」
莉乃の膝には大量の手紙の山がある。
...にしても、いきなりどうしたのかな、手紙だなんて。
「うん!お兄さんと、お兄ちゃんと、お姉ちゃんにも書いたよ!後で見てねぇ!」
「ありがとう、莉乃」

それから、そのまま私はアオくんの病室へ向かった
「アオくん、調子はどう?」
「萌乃、よっす」
と、振り向くアオくん。
改めて思う。カッコイイなぁって。
「この前の遊園地ありがとう!楽しかったよ!」
「俺も楽しかった。」
「ふふ今度は莉乃も連れて行ってあげたいなぁ。」
学校にも行ったことない莉乃。いつも笑顔絶やさない莉乃。早く治ったら、退院祝いで色々なとこへ行きたいね。
「そうだな、莉乃ちゃんなら喜ぶんじゃないか?」
「はぁ、頑張れ莉乃!!!」

知らなかった。


私は、何も知らなかった...。


もう、莉乃には命が少ないことを...。