もしも明日という未来があるのなら

「公式はすぐ出てこないと大学入試で困るよー。」

と、数学教師兼担任の山田先生が言う。

山田先生は面白いけれど課題をめちゃくちゃ出す上に説教が長い。

とてつもなく長いのだ。だから、生徒の好き嫌いは結構分かれる。

公式がすぐ、ね・・・。

最近新しい範囲に入ったのだけど、難しくて遅れぎみ。

頭に浮かんでくるのは、はてなマークばかり。

「野村、起きてるか?入試一人だけ落ちるぞ!」

「起きてますっ!」

がたっと立ち上がる。

一人だけ落ちるとか私どんだけバカ扱いされてんのよ。

ムッとしながら座る。

「あ、野村だけじゃないぞ、他のやつもな。」

あ、って付け足した感半端ない・・・。

怒りを通り越してあきれるよ。

「あと、演習問題解いてこいよー。はい、おわりー。」

げ、大変。めんどくさーい。

やっと山田先生のながーい授業が終わると思ったら課題出すんかーい。

っていうか大学行けるかどうかも分からないのに、と心の片隅で思う。

「ねー、海月お弁当食べたら数学α教えてもらってもいい?」

「柚月ごめん、今日バレー部のミィーティングあって。」

うわ、残念だなぁ。勉強する気だったのにー。

お昼、一人で頑張るかぁ・・・。

水村が教えてくれればいいのに、という思いがちらっと頭をよぎる。

でも、水村のことだし教えてくれなさそうだなと思ってそんな考えを消す。

頑張ると決めた心はどっかに行き、結局私は海月とお弁当を食べ一人で屋上に向かっていた。