*   *   *





「早苗ちゃん遊ばないのー?」


白い砂浜を海へ向かって走りながら、ビキニ姿の仁香が振り返る


いつのまにやら茶色くて長い髪をツインテールにしていて、なんてあざといことだろうと、仁香の顔をジトリと睨んだ


チクショウ可愛いやつめ



一方で私はパーカをフードごと着て、パラソルの下、ビニールシートの上に体育座りで丸まっていた

「遊ばない。私、海は嫌いなの」


「えーなんで海来たのー?」


「あんたのせいだよ」


「すーっごい分かりやすくふてくされてる!」



それもそのはず


合流した女子高生たちに

沢山の爆弾を投げつけられたのだから



こんなふうに


『こんにちは、たしか安井くんの保護者の方ですよね?』
『あー安井くんのお母さんでしたか』『いやこれはさすがに姉だろ』
『私たちが海に泊まれるように尽力して下さってありがとうございます』
『お姉さんは今日どこで泊まるんですか?』『海の家の人ですか?』
『私たち泳いできていいですか?』『BBQ任せていいですか?』


なんだお前ら___

という言葉を飲み込んで


「どうぞー泳いできてね~」

と手を振った自分を褒めたい