「そうっすね」

五月の薄っぺらい即答は本当に共感しているのか定かではないが、安井は嬉しそうに頷いた


「海都、お姉ちゃんはあんたのポジティブに救われているよ。ま、あんたが楽しいなら良かった」

そう言いつつ、仁香はようやく今まで顔の前に立てていたメニューを寝かせて視線を落とす



私は少し笑いながら

「文化祭に誘われた時点で、私も知り合いがいるって伝えとけばよかったねー」

と適当なことを言った



「ホントだよー」

「ははは」



まあ、言わないんですけどね


だってそんなこと言って、仁香の前で、文化祭までノコノコついて来たストーカーババアみたいな反応されたら恥ずかしくて死ねるし



「てかスリーポイント決めたところで、あの子知り合いって教えてくれればいいのにー。ねぇかっこよかったよ、見てたよー」

「ども」

「そんなんおばさんの狂言みたいになっちゃうもん」



私が肩をすくめると、仁香はため息をつきながら頬杖をついた


「まぁたしかに、友達の弟の友達くらいの間柄の人を知り合いって紹介する人もいるし。ましてこんなかっこいい子ほんとかぁ~?知り合いの知り合いで名前と顔知ってるだけじゃねって思わざるを得ないよね」