「ふぅ!完成〜」


程なくして簡単な野菜スープが出来上がった


速攻で作ろうと料理に没頭し魔女のように鍋をかき混ぜていた私は、一瞬うっかりと客人の存在すら忘れかける


スープは自分も一緒に飲もうと2つのマグカップに注ぎ、お盆に乗せてそろりそろりと持っていった



「はい、でき.....」


たよ、と言いかけて、テーブルに肘をついて賑やかなバラエティ番組を眺めている男子高校生が目に入る


スプーンは未だ綺麗に盛り付けられたオムライスの皿の上に乗っていた



「えっ、食べてないの?」


もしかして待ってたの?



つい驚きの声を上げて動きを止めしまった私だったが、彼は特に反応せずテレビを見たまま



なんだなんだ?


私はテーブル横に膝をつき、コトリとマグカップ2つをテーブルに置いた



オムライス冷めちゃったんじゃ.....




ここでようやくチラリとテレビからこちらに視線を移した彼と目が合う


その目はびっくりするほど優しく、柔らかくふわりと笑っていた




「ありがとうごさいます」




.....この子ジゴロなのかな?


私はそんな言葉を飲みこみながら


「どういたしまして」

とぎこちなく笑った