ムッとした私に、五月は優しくボールをパスする
「攻守交代です」
「よし!」
もちろんこの後、私は秒殺でボールを取られることになるのだが
久しぶりのバスケに夢中になっている自分がいた
そうそう
こんな感じ
瞬時に相手の出方を読み取り、ボールを上手く操れたときの快感を思い出す
手加減してもらっても五月には全く歯が立たないけど
やっぱ面白いな
なんで
バスケ辞めちゃったんだっけ
その時
私の体をおかしな感覚が包み込んだ
あれ
何だか、ふらっとする
何だろうこの感じ
身体は動くのに
その動きに体の芯が追いつかないような
意思と身体が伴わないような
おかしいな
「早苗さん?」
五月くんの声が遠い
頭の中でなにかがフラッシュバックした
燃えている
とてつもない光に包まれて
目の前がオレンジに燃えている
“こんななっちゃうんだ”
そう思った
________何が?
『早苗ちゃん吹奏楽部入ろう』
仁香の声が聞こえる
『あんたバスケはもう辞めな』
なつかしい、お母さんの声もする
「早苗さん!!」
「________え?」
わずか一瞬の出来事
倒れそうになった私の体を、五月が受け止めてくれた


