「そ、そそそんな目に毒なモノ見る必要ないわよ」


まずい、動揺が隠せない



私の心臓はどくどくどくどくどくどく、とありえない速さで脈打っていた


心臓がもたねぇ



セーラ服姿が見たいだなんて

なんてこと言うんだ



私が左胸を押さえている間に、吹奏楽部はすっかり撤収し終わって、いつのまにやら見慣れたジャージを着た体育会系の生徒が増えはじめる


きょろきょろと体育館を見渡すと、五月が提案してくれた

「12時のバスケ部試合までは、ボールやゴールを自由に使って遊んでいいんです。文化祭に来てくれた小学生の子にバスケ部員やバレー部員が教えたりする時間なんですけど、俺は担当じゃないので、よければちょっと遊びませんか」



遊ぶ.......?


思わず「私と五月くんが?」と聞き返すと、彼はコクリと頷く



バスケか.....

もうずいぶんやっていないが、頭上のゴールやバスケットボールの匂い、キュッと音がなる体育館の床、それらを見て遠い昔の記憶を思い出す



「確かにミニバスやってたけど、もう上手くないよ」

「大丈夫です。早苗さん相手にそんな本気でやらないので」

「うん.......じゃあちょっと触ろっかな、ボール」



手加減をしてくれるらしいので


やってみることにした