「はい、できたー!」


チキンライスの上にトロトロの卵の黄金布団を被せてオムライスの出来上がり


「なかなか上手くできたね」


キッチンから離れお皿をテーブルに置くと、クッションの位置を整えて手招きした


「さ、どうぞ。できたてのうちに食べてね。あ、スプーンスプーン」


私は忙しなく立ち上がり、キッチンの引き出しをガサゴソ探して大きめのスプーンを男子高校生に手渡す


「おいしそう」


オムライスを目の前に彼がどこか嬉しそうに表情を和らげるので、ついこちらまで嬉しくなりなった



「.....ケチャップ、お願いします」


「え゛.....セルフだよ。はい、これテレビのリモコン。自由に見ていいからね」



思わずドスの利いた声で反応してしまい、混乱した頭を誤魔化すように立ち上がる


そんな私を彼は目で追った



「おねーさん.....」


どこか残念かつ不安そうに自分を呼ぶ声に「なんなんだ可愛いな」と心の中でツッコみつつ


「まぁ食べててよ。軽くもう一品作るから待ってて」


と声を掛けた



2合の米とはいえど男子高校生は侮れない


パパッと作らねば完成する頃には完食されてしまうぞ



「よーし」


彼がテレビをつけた気配を感じながら、私はささやかなもう一品の制作に取り掛かった