ならばたくさん食べてもらおう
明日走るエネルギーになるように
「美味しくなーれー」
ご飯を炒める彼の横から、フライパンにケチャップを入れる
「.....萌え萌えキュン???」
「.....この段階じゃまだ魔法かけないでしょ。てかどの段階でもかけないよ。最後のハートマークも自分で書いてよね」
「え」
残念そうに固まる彼を顔を見上げて二度見する
おばさん相手に何求めてんだ!
も、萌え萌えキュンだよ!?
「やらないよ!からかわないで」
混乱した頭で、続いてオイスターソースを引ったくると、これもケチャップと同じくフライパンにブチューッと投入した
男子高校生は菜箸を動かす手を止め、「え」と戸惑いの反応を見せる
「.....ソース?」
「そう、隠し味......っていっても結構オーソドックスだけど。はい、手ぇ止めないで炒める炒める」
「......はい」
この子はいちいち反応が面白かったりするな
私はくすくすと笑いながら、役目を終えたオイスターソースを冷蔵庫にしまった
美味しそうな匂いが漂っている
もうすぐ完成だ


