「いらっしゃいませー!2年2組によるハンバーガートゥエンティートゥーへようこそ!」


教室に足を踏み入れるや否や、思わず感嘆の声を漏らす




「おー、すーごい。すーごい」


1回目の「すごい」はキラキラでポップな装飾にたいしての「すごい」


2回目の「すごい」は「すごい暇そうですね」の略だ



それもそのはず、現在の時刻は午前10時


まだハンバーガーを食べるには早い時間だ




「お姉さんたち、来てくれてありがとうございます!お客さん全然いないんですよー」



そうだねぇ


私もそう思ってたよ

と心中で頷きつつ


「お昼になったらそのうち賑わうよ」

と声をかける



男子生徒はニカっと笑うと元気よく頷いた


「当然っす!」

「おー」




見知らぬ生徒とそんな会話を交わしていると、横にいた仁香が「海都!」と嬉しそうに名前を呼ぶ



そういえば私、仁香の弟とはあまり接点がないな


海都くんっていうんだ




「姉貴!」


作業をしていた男子生徒のうち1人が振り返って仁香を見つけると、あまりにも嬉しそうに名前を呼ぶので


思わずギョッとして2人を交互に見つめてしまった



「姉貴〜!来てくれてありがと!」

「もちろんだよ海都!」



こいつらブラコン・シスコンだったか



これはちょっと

その場に居続けるのは気が引けてしまいそうだ