「おはよー早苗ちゃん!おまたせ〜」


「おい、本当にだいぶ待ったぞ」



年齢に若干合っていないピンクのフリフリワンピースで登場した友人、福澤仁香は、約束の時間より20分ほど遅れて呑気に現れた



「ごめんごめん。現地集合だから、ちょっと遅れても時間的にはあんまり問題ないかなって」

「いや、よく分かんないけどね意味」

「着ていく服に迷ったさ、これどうかな?」



心底どうでもいい質問には答えず、薄手のコートのポケットに両手を突っ込んで歩き出す



「ほら行くよ。もうだいぶ賑わってるじゃん」

「えーん待って待って!」






私は仁香を急かすように歩きつつ、高校生やお客さんで賑わう空間をゆっくり見渡した




高校には久しぶりに足を踏み入れる


もちろんここは自分が通っていた高校ではないが、文化祭の雰囲気はなんだか懐かしい




「思い出すね、早苗ちゃん。うちの高校もこんな感じだったよね。うちら2年生はお化け屋敷して、3年生はハンバーガー売ってさ!」

「そうだったね」

「偶然、今日は私の弟のクラスもハンバーガー屋さんなんです!」

「そーかそーか」




適当に相槌をしながら物珍しさにキョロキョロしていると、仁香にガシッと手を取られる



「てことで、ハンガー屋さんを探しまーす」

「朝イチからハンバーガー行く!?」

「来てって言われてるからね!」

「ブラコンだねぇ」




というわけで


まずはハンバーガー屋さんを目指すことになった