どこから湧き出ているのやら、謎の自信に満ち溢れた笑顔を見せる辻元のところに、畑中が1人の男子を連れてやってきた



「絵菜ちゃん、安井くんはどれを着てもらおうか?」



俺はクルリと振り返って、畑中に連行されて来た男____安井の顔を見る




かわいそうに

その顔はどんよりと曇ってぶるぶると震えていた


まるで保護犬のようだ




そんな彼に対して、辻元は無神経な言葉の槍を降らせる


「えー安井?あんたはイケメンとかじゃなくて、ただガリガ......華奢でレディース服が着れそうだから選んだだけだからなぁ。正直期待はしてないのよね。みんなが選ばなかった余り物でいいんじゃない?」


「酷いよ辻元さん......ガリガリとか、期待してないとか.......」



あまりの言われように泣き出しそうな顔で猫パンチよりも弱い抗議を述べる安井




「おっけー絵菜ちゃん」

聞いているのかいないのか、畑中は小走りでとってきた衣装を安井に渡した



「じゃあ安井くんはこれね。大丈夫、似合うように私が可愛くメイクするから任せて!」


「てことで、2人とも早く試着してね」




俺は安井と顔を見合わせ、渋々ドレスを片手に試着室へと入った