五月はこちらを見ず目線を下にしたまま

「俺が帰らなかっただけです」

と微笑む



火のついた鍋から出来上がったものをお椀によそっているようだ



「どうぞ」

そう言って差し出されたのは、湯気のたつ味噌汁



「飲んでください」


「ありがとう.......」




味噌汁作れたんか.......君.......


私はその出来栄えに感心しながら、両手でお椀を持ちリビングのテーブルに移動する



昨晩の罪悪感からか、無意識に正座をしてズズズと味噌汁を啜ると、その温かさがじわりと体に広がった



「しみる.......」




後からテーブルにやってきた五月も、一緒になって味噌汁を飲む



私はほっと一息ついて尋ねた

「ね......寝た?」


「はい。ソファを借りました」


「うわーごめんソファなんかで寝させて。良く眠れなかったでしょ」


「いや、どこでも寝れるタイプなんで」




とは言うが


気を使ってそう言ってくれてるだけで

あまり休まらなかったに違いない




最悪だ


彼は今日も部活なのに_____



そこで彼には今日も部活の予定があることに気がついて、私はバッと顔を見上げる


「ねぇ部活は!?」


「今から行きます。一旦部屋に戻って、シャワー浴びてから」




現時刻AM8:16

いつもは8時起きって言ってたっけ......



「間に合いそう?」

「はい」

「あ、ごめんお弁当ないね......」

「買っていきます」