まぁ、下着を見てしまったのは今日が初めてじゃないけどな


五月は内心そんなことを思いながら、早苗の肩に腕を回す



「見てないから、ほら、立ってください」



ふらふらと立ち上がった早苗は五月の力を借りつつよろよろと歩き出してベッドへと向かう


途中、突然泣き出した


「昨日のはいいの、可愛いブラジャーだったから」

「いいの......?」

「よくない。今日のはもっとよくないの......可愛くない、ぼろぼろの使い古したやつだから......」



なんと言えばいいのか反応に困る


五月はこれ以上、下着の話には触れまいと心に決めた




そんな決心もつゆ知らず、早苗が悲しそうなトーンで言葉を続ける


「でももっとよくないのはね、高校生の男の子を部屋に連れ込んでる私よ......」



彼女の苦しそうな喋り方にハッとして、五月は咄嗟に否定した


「それは俺が勝手に」


「それでもダメよ.......こんなの。でも、あの子可愛いの。それでつい」

「......」



そう言い残し、彼女はたどり着いたベッドに倒れ込む





可愛い、か........



早苗の言葉を反芻しながら、五月は布団をかけて部屋を後にしようと踵を返した



そこで気がつく



「鍵......」


彼女がドアの内側から鍵をかけてくれないことには、部屋を出ていけない



だからといって鍵を勝手に持ち出して自分の部屋に帰るわけにも.......



「......早苗さん、ソファ借ります」


返事はなかったが、五月は部屋の電気を消すと、先ほどまで2人して座っていたソファに横になった