「あの、来なくていいです」


「君に僕の素性が分からないように、僕にも君の素性が分からないからね」


「........」



男2人が私を挟んでなんか言っている


ちなみに私はどちらの名前も分かっていない




3人無言で足音だけが響く時間が続き


マンションの入り口までたどり着くと、男子高校生は男を一瞥して「いつまでついてくるんですか」と尋ねた



「.......早苗さんが部屋に入るのを見届けるまで」


男子高校生は真顔をこちらに向けて「こいつに部屋知られたらヤバいのでは?」と脳内に語りかけてくる



シッテル

コイツ

サイショカラ ヤバイ



私は2人に気づかれない程度にため息をつくと、もうどうにでもなれと階段を駆け上がった


背後から2人のついてくる足音が聞こえる



えーっと

なんでこんなことになったんだっけ


そんなことを考えながらカバンから鍵を探り出し、自分の部屋の前にたどり着くとガチャガチャとドアの鍵を開ける



ただ、なぜだか

男子高校生の存在に安心してしまっている自分がいた



「送ってくださってありがとうございました。おやすみなさい」

「あ、はい」


そう言って男に対して頭を下げる私に続いて



「では」


部活帰りジャージ姿の男子高校生は、私の部屋に上がり込むと即座にその扉をバタリと閉め、鍵をかけた