「え、ほんとに?」
あーー!!
高校生に期待に満ちた顔をさせて!
正気かこの口は!?
しかし先ほどの悲しげな表情を見ただけに、言い出しておいて今更取り消すのはあまりにも心苦しい
「あ、あの、簡単に作れるものならね.....」
サッと出してサッと食べさせて
誰かに何かを誤解させる前に早急に帰って頂こう
腹をくくって小さく頷くと、彼は迷いなく「オムライス」と呟いた
「わかった、オムライスね。好きなの?」
あまりにも即答だったものだから、ついそんなことを尋ねてしまう
「はい」
「へぇ。偶然だけどオムライスは得意な方なの。だからちょっと自信ある」
そう言って笑いかけると、彼が驚いたように少しだけ目を見開く
「はは、何そのカオ。さっきまではガミガミ言ってご飯作るの渋ってごめんね。何か色々と、躊躇いとかそーゆーの全部吹っ飛んだから。狭いけど座ってて」
私は左手でテーブル周りのクッションを指差しながら右手でキッチンに掛けられたエプロンを手に取る
「いや、作るの見てます。てか手伝います」
「そう?」
申し訳なく思う必要はないんだけど。
けれどそんな彼の言葉を結構嬉しいと思っている自分がいる
「じゃあ、はい。ニンジン洗ってあるからイチョウに切って」
「はい」
素直なのがなんか可愛いし
私は大きな手で小さくニンジンを切っている謎の男子高校生を、微笑ましく思って見ていた