気が付いて食べる手を止める五月たち
先頭に立って部室に入って来た同級生の峰田が、後ろを振り返って説明する
「マネージャーに興味持ってくれてる一年生の子たち。火野のことカッコいいって、話してみたいって言うからここで弁当食べたらいいよって連れて来たんだ」
正直な紹介に、女子たちはほんのり赤くした顔を見合わせる
緊張しているのか肩をキュッとすくめる様子に気遣った桜庭はふわりと笑うと
「どうぞどうぞ、散らかってるけど良かったら入って」
と、手で彼女たちを招き入れた
「はっ、はい!」
「ありがとうございます!」
「失礼します!」
三年生の許可が出たこともあり少しホッとした様子で部室に入って来たのは女子3人
木田が率先して動き、男子たちは詰めて座って彼女たちが座ることのできるスペースを作った
しかしながら肩を強張らせて並んで座った3人は、緊張のせいか誰が話し出すかと互いの顔を伺い合う
そんな様子を見て、五月は自分をカッコいいと言って来てくれた新入生の彼女たちが友達同士ではない可能性があることに気がついた
「緊張しなくていいよ」
なんとか声をかけるも、筑紫に勢いよく笑われる
「いいなー、お前からそんな優しい言葉かけられたことないわ」
「てかさっきまで自分が一番緊張して手作り弁当食べてたよね」
「先輩、木田」
木田にまでからかわれ五月が彼らを軽く睨むと、調子に乗った木田が雰囲気を和らげるためか面白おかしく話し出した
「こいつ普段買った弁当ばっか食べてるんだけどね、今日初めて普通の弁当持って来てさ。相当嬉しかったのか顔赤くしてたんだよ」


