「自分で作った!?」
「親来てんの!?」
「彼女?」
五月が一人暮らしをしていることを知っているだけあって質問が矢継ぎ早になるも大して返答はない
弁当のふたがゆっくり開かれると、気になる中身に一同は声を噤んだ
プレーンオムレツにうずらの卵とウインナーの串刺し、プチトマト、小エビのフリット、唐揚げ、アスパラとパプリカのコンビーフ炒め、ナスのバターソテー
さらには海苔で巻かれた小ぶりなおにぎりが3つと、小さなタッパーにデザートのパイナップルが入っている
見た目は鮮やかで、どれも美味しそうだ
「すごいな」
「一周回って商品みたいだな」
そうなってくると、いよいよ誰が作ったのか気にならずにはいられない
3人は拍車をかけて問い詰めようとしたが、五月の表情を見て顔を見合わせた
「「「.....」」」
弁当を見つめる彼の顔は赤く、口元を片手で押さえて今にも爆発しそうな感情を押し殺しているように見える
こんな彼は見たことがない
というより
何でも器用にこなしていつも涼しい顔をしている彼が、何かに感情を動かされることなど今までなかったのに
「火野.....大丈夫?顔凄い赤いけど」
初めて人間らしい表情を見てなんとリアクションすればよいのかわからず戸惑いながら木田が声を掛けると、自覚があるのか五月はコクリと頷いた


