何なのこの子.....


顔すごいキレー

身長も高めだし


それでいて華奢で.......


高校生時代の自分に一番縁がなかったタイプの男の子



自分で言うことではないかもしれないが

今まで苦しいこともいっぱい乗り越えて、真面目で至極まっとうな人生を生きて来たのに


社会人になって気を引き締めなきゃならん時に何を自分は部屋に高校生を上げているのか



「あ、あの、お見苦しいものも見せてしまったわけだし、やっぱ部屋に上がられるのは恥ずかしいから.....」


「でもブラジャーが落ちてた以外は部屋綺麗ですよ」


「.....」


「だめですか?」



ブラジャーを見られたこっちの気持ちを気にする様子も見せず、目の前の男子高校生はなおもこの部屋に居座ろうとする



私は冷静に冷静にと心の中で繰り返しながら、ベッドとテレビに挟まれている小さな四角いテーブルを指差した


その上にはほとんど手がつけられている夕飯のお皿が乗っている


「今日の夕飯、作った分はもう食べちゃって」


この部屋から漏れたいい匂いの正体はもう私の胃袋の中なの、と言いたかったのだが



予想外にも

それまで何を見ようとほとんど表情を崩すことがなかった男子高校生の顔が、どことなく寂しそうに見えた気がした



「.....」

「.....」


あまりにもうるさく粘られたら

コンビニかスーパーでなんか買わないの?とか声をかけることも考えたのに



「じゃあ、なんか作ろうか.....?」


彼の表情を見て、私はついそんなことを口走ってしまった