* * *




後になって早苗が溺れたと聞いて


安井は慌ててロッジにやってきた




火野くんがここまで彼女を運んだと、仁香が教えてくれた



「火野くん、早苗さん」


呼びかけるが、広いロッジはシンと静まりかえっている


風呂場にいるなら帰ろうと脱衣所の前まで来てみたが、音はしない



踵を返してビーチに戻ろうとした時、2階から降りてきた火野くんと目があった



「安井」


「火野くん、早苗さん溺れたって聞いて。大丈夫......?いまどこに......」



階段を降りた彼の元まで焦って駆け寄ると、一度頷いた後に答えが返ってきた


「大丈夫。今は2階の個室で休んでる」


「そっか、よかった。......僕も」


様子を.......



2階にあがろうとした手首が、鋭い反射神経でがっちりと掴まれ


僕は階段を上がろうとした足を、そっと元に戻した



「い、行かない方がいいかな」


まずいことしたかな

火野くんの目が見れない