そう思ったのに
「来た......」
ベッドに腰掛けていた私は呆然として呟いた
「はー、ちょっと探しました」
ドアに寄りかかっている五月はロッジ内を歩き回ったのか少し疲れ気味だが
その格好は黒のTシャツとグレーのスウェットですっかりリラックススタイルだ
「もう海入る気ないじゃん」
「早苗さんが入るなら行きますけど、入んないですよね?」
「あ、やっぱないじゃん」
五月はほんの数秒間、無表情を作ると諦めて
「ないっす」
と白状する
そのまま何を言うでもなく部屋に入ってくるので、思わず体が強張った
隣に腰掛けるのを目で追う
濡れて普段より下りている前髪から覗く目は、間近で見ると綺麗な二重だ


