* * *




「お待たせー」


脱衣所から出ると、五月がバスタオルの上に座って天井を見上げていた



こちらに気がついてわずかに首を傾げる


「だいぶ早いっすね」


「うん。だって、ほら床に座ってる。海パン脱がないと部屋の中でくつろげないもんね」


「そうなんすけど、体調悪くないですか」



会話になっているような

なっていないような



ゆっくりシャワーを浴びて良かったのにと言いたいのだろう



「ありがとう、大丈夫よ」


優しい子だな


私は微笑んでから、ため息混じりに笑った




「そっか」

「うん」



肩にかけたタオルで髪を拭きながら、座ったまま立ちあがろうとしない五月の前にしゃがんだ



「なんですか」


「助けてくれてありがとう。五月くんが現れた時、どれだけ安心したか。命の恩人よ」


「当然助けますけど」


「うん......」




涼しい顔で言われ、1時間ほど前のぶっ飛び発言を思い出す





あれー




______この子本当に私のこと




______いや、溺れてたんだから当然助けるって意味よね