* * *






一体、どれほどの間


気を失っていただろう





目をゆっくりと開きながら

生きていることを実感する




「いったいどれほどの間気を失ってたの.....」


小説やドラマにありがちなモノローグを頭に浮かんだままに呟くと

私を背中におぶって砂浜を歩く五月くんが「1分くらいです」と端的に回答した



「はは、すごいはやく起きたよ。助けてくれてありがとう。てか、おんぶさせてごめんね」


「早起きしたみたいに言わないでください。大事をとって、もう今日はロッジにいましょう」



溺れかけただけで、実際そこまで溺れてないから別に大丈夫だと思うけどねー、と言おうとと思ったが


素直に言うことを聞いかないと

うるさいだろうな......


「うんー、そうする」




顔だけで振り返ると、リクちゃんと仁香は砂浜に上がっていて


仁香の弟、海都くんをはじめとした男子たちに助けられたようだった


そこにナンパ男たちはいない



良かった......



「てか、もう懲りろよあのガキ」

思わず口が悪くなる私に



「本当に、もれなく早苗さんがナンパ男に突っかかるから。ちょっと監視しときます」


五月は前を向いたまま頷いた