「.....心がやられるって何ですか」


「だからその.....地下で生きる人間には陽の光が眩しいっていうアレよ.....」


濁らせた説明をするも男子高校生に納得した様子はなく、むしろ何処か不満気に眉根を寄せる



____あーー!


何言ってんだオバさんって顔だー!!

笑ってくれた方が100倍マシだわ!


「おそろし、おそろしやわ.....男子高校生のリアクションは凶器になりかねん.....」


ショックを受けブツブツ言いながら表情を変化させるおばさんはさぞ不気味だったことだろう

彼は躊躇いがちに口を開いた


「明日も来ていいですか。飯ここで食いたいです」


私は聞き間違えたのではなかろうかと、動きを止め「え?」と聞き返す


だってそれを了承したとして、今回のように彼のためだけに晩御飯を作るなんて二度手間はしない

きっと自分の分と一緒に作るのだから当然


____一緒に食べたいってこと?



「あー」


返答に悩む私に彼はすかさず

「お金は出します」

と床に手をついて身体を近づけてきた


彼は真剣に言ってくれたのだ


「あ、違うの。お金のことを気にしてるんじゃないのよ。でも例えば、いくら私が女で非力だったとしても、素性が知れないし、家に上がっているのを目撃されてあなたの周りの大人に誤解されるのもよくないでしょ?」


「.....」


「随分信用してくれてるみたいで嬉しいよ。でもこれが、もしも私がサラリーマンで、あなたが女子高生だったら、誰に勘違いされてもおかしくないもの」