腕に触れる直前で
パシッ
伸ばした右手が男の1人によって掴まれた
「痛っ......離してよ!」
「仁香!ねぇ、女の子の手掴まないで!」
冷めた表情の男たちに見下ろされ、蛇に睨まれた蛙のような気持ちで上を睨む
男の1人が身をかがめ、耳元で肝が冷えるような冷たい声を発した
「この子、あんたの方行きたいとか別に言ってないよね。お姉さん勝手に連れてこうとすんのやめて?」
感情を抑え静かに怒るこの感じ、多分
次はない
背筋がゾクリと凍る
でも逃げられない
こんなに怖い男たちのところに
リクちゃんを残していけるわけない
「仁香」
「早苗ちゃん」
右手で仁香の左手を掴み、左手をリクちゃんに伸ばす
「だりーな」
「おいお姉さん勝手なことしないでー」
左手をグッと掴まれ、リクちゃんや仁香から引き剥がすように男に引っ張られる
グイッ!!
「ひっ」
肩が抜けそうなほどのすごい力
「早苗ちゃん!」
仁香の叫び声とともに気がつく
足がつかない


