男たちはリクちゃんの腕を掴み、背中を触り
今にもそれ以上のことをしだしそうだ
「えー仁香あんな男ムリ......。キモすぎない?」
「みんなムリだよ。クソ野郎」
当のリクちゃんは体を強張らせ
でも表情は笑っている
遠目にしか見えないが、そんな気がする
早く助けにいかなければ
私たちは水の中を無言で進む
もう海水が胸元まできている
私より沖にいるリクちゃんが沈んでいないから、しばらく溺れはしないだろうが
怖いな......
水に対して恐怖心が湧き上がった
カナヅチだから、何度も溺れた経験がある
小中学校のプールなんて地獄だった
トラウマだから泳げない
でも行かなくちゃ
私たちは目を合わせて合図する
______助けるよ
______了解
「リクちゃん!お昼ご飯にしよう!」
「海の家があるからそこでなんか買うよ!」
「早い者勝ち(?)だよ!」
「早く行かなきゃ!(?)」


