ざぶ


ざぶ......



「と、遠い......」


男たちとリクちゃんの元まではだいぶ距離があった



「ちょっと早苗ちゃん遅い!はやくしないとリクちゃん連れてかれちゃう」


「仕方ないじゃん水の中って......はぁ、はぁ、全然進まないのよ。私超カナヅチだし......はぁ、はぁ」


「......今、泳いでないよね。運動不足じゃん?」



呆れるような視線が痛い


仁香は私のことを諦めて、遠くのリクちゃんに向かって手を振って叫んだ




「おーーいリクちゃーーーん!お兄さんたち、その子連れてかないでぇー!」



私は進むだけで精一杯なのに

よくそんなに叫ぶ体力があるな



「でも......聞こえてなさそうだよ。流石に遠いし、周りもうるさいし」


「それなー」




仁香は背後のカナヅチをチラチラと気にする気遣いを見せて立ち止まっていたが、しばらくして「あっ」と声を上げた



「なに?」


「あの野郎!!ベタベタ触って!!」


「ええ〜!」



だからあれだけ危ないと言ったんだ