私は頷いてチラリと仁香を見る



私,さっき五月くんに好きって言われた

そう言おうとして思いとどまる


言ってどうなるってんだ

ろくなことにならなさそう......



「なに?」

不思議そうに首を傾げる仁香に対し


「いや、まぁリクちゃんはそこまで考えてないかもしれないけど」

と首を振った



「そうだね。ほんとにナンパが趣味のチャラ男好きかもしれないよ」


「高校生に対して急に悪口?」


「いや、目撃談」





_______え?




仁香が促す視線の先には、チャラそうな数名の男たちとニコニコ話しているリクちゃん




「デジャブ......」



あの女......

ウザいけど注意されたから今日は勘弁してやるかとか思わないわけ



会話に夢中でこちらの視線には気が付きそうにない


それどころか男たちと一緒に沖の方へと入っていくではないか




仁香が私の手をひっぱる


「あのガキ逮捕しにいくよ~」


「まって上着濡れる」


「着てるから悪いんでしょ。待ちません。あの子が1人で海来てナンパされようが砂浜で×××しようが全然どーでもいいんだけどね。私たちが保護者ってことで来てると話が違うのよ。親には当事者のガキより放置した仁香たちのが悪く言われるからね」


なかなかきわどいワードが仁香の口から出る



「はいはい......」


私は彼女に連れられるまま、濡れる上着を諦めてリクちゃんの方へと向かった