そう呟いて、私は能天気な仁香の顔を見つめる



「なに早苗ちゃん?」


何組にナンパされても、こいつは

ホイホイとついて行かなかったからここにいるのだ




「ナンパ、どうやって撃退したの?」


仁香は「なんでそんなこと聞くのー」と笑う


「いや気になって」



彼女は撃退シーンを思い出したのか、堪えきれなくなったように笑った


「それがさー、職業とか年収とか聞いて、『えー、仁香、ホワイトカラーとしか遊ばないんですぅ』っていったらプライドズタズタんなったみたいな顔して去ってったよ」



なんて女だ


「すげーー。ちょっとかわいそう」

「ははは!うん」



あーおっかしー、としばらく笑った後、彼女は少し真面目な雰囲気を纏った


「職業ホワイトカラーうんぬんとか、別にこだわってないんだよ。ただ、あなたたちが女の子選んで声かけてるみたいに、こっちにだって選ぶ権利とプライドがありますよってことアピールしとかないと。男が一方的に選べるみたいなふうに勘違いしてる人は、ふるいにかけて炙りださないと」


「うん」


「ま、そしたら全滅したんですけどねー!やっぱ出会いは高学歴大企業縛りでセッティングした合コンがいいなぁ仁香」


「めちゃくちゃホワイトカラーこだわってんじゃん」