日々の苦労を想像して労ったつもりだったが、彼にとってはそこまでの苦痛とはなっていないのか
「いや」
と小首を傾げる
____うそでしょ
毎日の早起きや朝練が大変じゃないなんて、一体どこの仙人なのよ
今となっては毎晩泥のように眠りイヤイヤ朝起きる私は、若いだけではない彼の素晴らしさに舌を巻いた
「えらすぎる.....」
「平日は6時起きだけど休日は8時起きなので」
「なのでってなに?それでも凄いわ。私なんかゴミ人間だから休日は11時まで寝ちゃうもの、はは」
褒められたことではないのに堂々と言う自分を心底ダメ大人だと思う
「じゃあ明日は土曜日だから一日中練習なんだね」
私の言葉に彼はズズ、と野菜スープを啜りながら頷いた
「はい」
「もしかして早起きしてお弁当とか作ってるの?」
「いえ、作った方が経済的に良いんですけと、時間なくてコンビニ寄ってます」
____ああ、すごいな
少し自分を責めるような言い方に、この子はどれだけ自分一人で頑張ろうとしてるのかと尊敬の念すら覚える
思わず彼の頭をポンポンと撫でた
「いいんだよそれで。無理して体壊したら元も子もないんだから」
彼は撫でられたことに驚いたのか、動きを止めてじっと私の目を覗き込んだ
あ、まずい?
男子高校生にするには無神経な行動だったかな.....
「しょ、衝動的に撫でてごめんって。あんまり純粋な目で見られると心がやられちゃうわ.....」