お前は突撃隣の晩御飯か!


男子高校生は許可を得るなり扉を開けたまま固まる私の横を通過すると、躊躇なく部屋に上り込む


家に上がるだと!?



「ちょっ、やっぱまって!」


散らかったままの部屋を思い出し、我に返ってブレザーの広い背中に慌てて声をかけると、彼はピタリと立ち止まって顔だけで振り返った



「あ、俺このアパートに住んでるから、別に怪しい者じゃないです」


「そ.....そうなの?」


「はい。上の階、303号室。この部屋から夕飯のいい匂いがしたから、つい.....」


淡々と説明していた彼が、とつぜん言葉の勢いを失う


不思議に思って俯きがちなその視線を追うと、フローリングには堂々と放ったらかしたままのレースのブラジャー


「あああああああああ」


比較的可愛いやつーーー!!



彼を突き飛ばし一瞬にしてブラジャーを引ったくると、背後に隠して「なんでもない!」と苦しい言い訳をする


彼は何か言いかけて言葉を飲み込むと、素直に謝った

「見てごめんなさい」

「見てない!」

「いや見たけど.....」


高校生に23歳のブラジャーなんて見苦しいものを見せるとはなんたる不覚


なぜ洗濯カゴに入れなかった朝の私!!


しかしこんなシチュエーションなど朝の私に予想できるわけがあろうか!!


冷や汗をかきながら目の前の高校生の反応をちらりと伺うと、その細長くて綺麗な瞳とパチリと目があった