ソウェルは小さく首を振って、僕の言葉を否定して、答える。



「行かないで、シーファ。…我侭な私に愛想を尽かせて…」



「行かないよソウェル。君こそ、僕に愛想を尽かせて置いて行かないでよ」



「どうして私がシーファに愛想を尽かせるの?こんなに愛しているのに」



「それもそうだね」



笑って髪を撫でてやると、ソウェルは嬉しそうに笑って、僕の身体に擦り寄ってくると、安心しきったように眠りについた。


僕も太陽が当たらないこの心地よさに暫くの間、ソウェルの寝息を聞き入っていた。



「君はどう足掻いても死ねないけどね」



ソウェルが寝静まってから、僕は小さく呟くと、ソウェルのドレスの腹部部分の布を退かして、そこにある小さな取っ手に手を掛けるとカシャン、とその扉を開いた。


中にはチューブやボトル。電気の通るコードや、スイッチなどが所狭しと並んでいる。


書斎に置いている小さな掃除機で目には見えないゴミを吸い取ってやり、中に入っている液体が通るように付けられているチューブをたどり、一つのボトルを引き抜く。


その中にはソウェルが飲んだ紅茶が入っている。


中身を捨てて、チューブに繋いで、僕は開いていた扉を閉めて、服を調えてやる。


心地良さそうな、ソウェルの寝顔。


電気で内側から暖められているその皮膚に触れながら、この我侭で愛しい人形に、僕は永遠の愛を誓った。



墓場の地下にある、


古い古い地下室の中で。





永遠に五歳の少女へ。








END