外套(マント)が人にぶつかるのも気にせずに、僕は足早に通りを歩いていた。


ピンクのドレスなんて、そう着ている子どもは居ないから探しやすいのだが、目立つ所為で変な男に捕まっていやしないだろうかと、僕はその不安だけが頭から離れなかった。


泣きながら通りを歩く、育ちの良さそうな身なりのいい少女なんて、いい売り物以外の何ものでもない。


通りかかる数人に、ソウェルの情報を聞いたが、誰もそんな少女を見た覚えはないと、全員が口を揃えてそういった。


此方ではなかったのだろうか。


そう思って踵を返し、反対の通りを歩いてみると、どこからか、耳を劈(つんざ)くような轟音が響いた。






銃声。






それも立て続けに何度も聞こえた。


僕はその物騒な音が聞こえた方へと走っていった。