「助けに行くことも、出来たのに」



「沢山の人間を敵に回す事になるけどね」



「人を呪い続けることは、やがて自分さえも滅ぼしてしまうわ」



「きっと、観衆と自分に呪いを掛けたかったんだよ。助けられなかった自分を、彼は、誰よりも呪いたいはずだよ」



ソウェルは白猫のポシェットからメモ帳とペンを取り出して「ひあぶり」と書くと、その文字の上に線を引いた。


因みに「とびおり」には三角が付けられてある。



「望み通り、ってところかしら」



ソウェルは先ほどから笑いながら涙を流して額を石に叩きつけている男を見て、小さく呟いた。


「ミリア」と叫びながら、額から、白い骨をむき出しにした、男を見て。










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